法務担当者の採用難と代替手段としての法務アウトソーシング
なぜ法務担当者は採用できないのか。採用の課題と代替手段としての法務アウトソーシング
法務担当者の採用は年々難易度が上がっています。採用がうまくいかない背景を整理した上で、採用活動と並行して検討できる選択肢について解説します。
「法務担当者を募集しているが、応募が集まらない」「やっと採用できても、条件の良い他社にすぐ転職されてしまう」。こうした声は、業種・企業規模を問わず増えています。
法務担当者の採用が難しい3つの理由
経験者の母数がそもそも少ない
企業法務の実務経験者、特に契約書レビューだけでなく訴訟対応、マネジメント、M&A業務まで経験している人材は限られており、採用市場での争奪戦になりやすい領域です。
採用競争が激しく、条件面で見劣りしやすい
大手企業や法律事務所が好条件を提示する中、中堅・成長企業が同水準の条件を用意するのは容易ではなく、内定を出しても他社に流れてしまうケースが少なくありません。
採用してもすぐに辞めてしまうリスクがある
採用・育成にかけた時間やコスト、エージェントフィーに見合わず、早期離職してしまうケースもあり、「採用してもリスクが残る」という悩みにつながっています。
→ この間にも契約書・訴訟対応・日々の法務相談などの法務案件は止まらず積み上がっていくため、採用活動と並行した対策が必要になります。
採用市場で何が起きているのか
企業法務・インハウスロイヤーの採用が難しくなっている背景には、需要側の急増があります。コンプライアンス対応の強化や、M&A・グローバル展開に伴う法務リスクの増大を受け、組織内に法務人材を抱える必要性は年々高まっており、インハウスロイヤーの数自体も増加を続けています。
一方で、即戦力として評価されやすいのは実務経験3年から5年以上の人材、なかでも実務経験を積んだ30代・40代が最も求められる層とされています。この層は法律事務所側からの需要も強く、企業側が好条件を提示しても、内定辞退や早期の再転職が起きやすいのが実情です。
ポイント 経験者を採用しようとするほど、他社との争奪戦になりやすい構造があります。「採用できるかどうか」は、条件面の工夫だけでは解決しきれない部分が大きいのです。
採用を待たずに法務体制を維持する方法
採用活動には、どうしても一定の時間がかかります。その間の法務機能の空白を埋める方法として、近年注目されているのが法務アウトソーシング(法務代行・法務外注)の活用です。
- 採用が決まるまでの「つなぎ」として、即戦力の弁護士に実務を任せられる
- 採用後も、繁忙期のみ稼働を追加するなど柔軟に組み合わせられる
- 育休・産休や急な退職による一時的な戦力減にも対応できる
- 将来的に社内で法務人材を育成したい場合の、橋渡し役としても機能する
「採用できるまで待つ」のではなく、「採用活動と並行して、外部の力で体制を維持する」という発想に切り替えることで、法務案件の停滞や属人化を防ぐことができます。
採用チャネルごとの特徴
法務人材の確保には複数の選択肢があり、それぞれコストとスピード感が異なります。
| チャネル | コスト感 | 稼働開始までの期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 正社員採用(エージェント経由) | 年収の30〜35%程度が紹介料の目安 | 数ヶ月〜半年以上 | 長期的な戦力化には最適だが、母数が少なく難易度が高い |
| 正社員採用(自社採用) | 採用担当者の工数 | 数ヶ月〜長期化しやすい | コストは抑えられるが、法務人材への訴求力が課題になりやすい |
| 法務アウトソーシング | 月額固定が中心&紹介料ゼロ | 短期間で稼働開始可能 | 即戦力の弁護士が実務からマネジメントまで対応 |
採用活動そのものをやめる必要はありませんが、「採用が決まるまでの期間、どのチャネルで実務を維持するか」を並行して検討しておくことで、法務案件の停滞を防ぐことができます。
「つなぎ」としての活用イメージ
採用活動と法務アウトソーシングを並行させる場合、一般的には次のような時間軸で進みます。
- 採用活動開始〜1、2ヶ月目:並行して法務アウトソーシングの稼働を開始し、滞留している契約書レビューや日常相談から着手
- 3〜6ヶ月目:採用活動の状況を見ながら、稼働量を調整。内定が近づけば稼働を減らし、長期化すれば稼働を維持・拡大
- 採用決定後:新しく採用した担当者のオンボーディング期間中も並行稼働させ、引き継ぎとナレッジ共有をサポート。担当者が独り立ちしたタイミングで稼働を縮小
採用が決まった瞬間に稼働をゼロにする必要はなく、引き継ぎ期間を重ねることで、新任担当者の立ち上がりもスムーズになります。
将来の社内人材育成につなげる
法務アウトソーシングは、単に「今の穴を埋める」だけでなく、将来的に社内で法務人材を育成するための橋渡し役としても機能します。
例えば、若手の法務担当者やこれから法務を兼任するメンバーがいる場合、外部の弁護士が対応した案件の考え方や判断基準を共有してもらうことで、実務のOJTに近い形で知見を吸収できます。契約書レビューであれば、修正理由や交渉時の考慮事項を解説してもらいながら進めることで、次第に社内でも同水準の判断ができるようになっていきます。
採用した人材の育成期間中に、外部の専門家からのフィードバックを受けられる体制を並行して持っておくことは、早期離職を防ぐ意味でも有効です。
まとめ
法務担当者の採用難は、多くの企業に共通する課題です。無理に採用だけで解決しようとせず、法務アウトソーシングを組み合わせることで、採用活動中の空白期間や、突発的な人員不足にも柔軟に対応できます。
